「裁判で勝っても、相手に財産が残っていなければ回収できない」――これは債権回収における最大の落とし穴です。韓国では、訴訟で決着がつく前に相手の財産を仮に押さえておく仮差押えという制度があり、回収の実効性を確保するうえで大きな役割を果たします。
仮差押えとは何か
仮差押えは、金銭の支払を求める権利を保全するために、訴訟や判決を待たずに相手の財産の処分を一時的に制限する手続です。預貯金、不動産、債権などが対象になり得ます。これにより、相手が裁判の間に財産を売却・隠匿してしまうことを防ぎ、後の強制執行を確実にします。
あくまで「仮」の措置であるため、その後に本来の権利を裁判で確定させる手続が必要になります。仮差押えはゴールではなく、回収を実現するための出発点と位置づけられます。
要件と手続
仮差押えを得るには、保全すべき権利が存在すること、そして今保全しておかなければ後の回収が困難になるという必要性を、裁判所に対して示す必要があります。緊急性が高い手続であるため、相手に知られる前に進められる点も特徴です。
一方で、誤った仮差押えによって相手が被る損害に備えるため、債権者は担保の提供を求められるのが通常です。担保の額は事案によって異なります。費用と効果を見極めたうえで申し立てることが重要です。
債権者がしておくべきこと
まず、相手にどのような財産があるかを把握しておくことが重要です。預金口座、不動産、取引先への売掛金など、押さえるべき対象を特定できれば、仮差押えの効果は高まります。請求の根拠となる契約書や請求書なども整理しておきましょう。
外国人債権者が知っておくべき点
外国人や外国企業であっても、韓国内の財産に対して仮差押えを利用できます。ただし担保提供や書類の整備が必要になるため、時間に余裕を持って準備することが望まれます。
仮差押えはタイミングが命であり、動き出しが遅れると相手に財産を逃される危険があります。回収の可能性を高めるために、早い段階で弁護士へご相談ください。相手の資産状況を踏まえ、最適な保全戦略をご提案いたします。